ヤンキーとチンパンジーを比較してみる

うちの近所のイオンにはヤンキーファミリーが大勢いる。

 

ヤンキーは道を譲らない。堂々と通路の中央を歩き、目で威嚇する。

稀にヤンキーとヤンキーが遭遇するが、ギリギリでどちらかがよける。

そして苦々しい顔をする。よけて歩くことの何がそんなにイヤなのか。

 

ヤンキーは香水がキツい。しかもたいがいクセが強い。

 

ヤンキーはスモークで真っ黒のミニバンから音楽をMAXで流す。

 

ヤンキーは地元にこだわる。地元でどれだけ名を馳せたか、

地元の強いやつにどれだけ勝ったか、あるいは繋がっているかにこだわる。

引っ越しても地元での武勇伝は言い続ける。

 

ヤンキーは繁殖力が高い。だからうちの近所は子供がやたら多い。

 

ヤンキーは生き急ぐ。いかに早くセックスするか、結婚するかにこだわる。

そして離婚も早い。

 

ヤンキーはコンプライアンスが低い。規則やマナーを理解しないので

違法行為を動画に撮ってはSNSに上げて通報される。

 

ヤンキーは笑いのツボが独特だ。一発ギャグやベタな笑いを好み、すぐ飽きる。

リズムネタや視覚的にインパクトのある笑いを好むように見える。

 

ヤンキーは仲間に手厚い。他人から巻き上げてでも仲間に施そうとする。

仲間かそうでないかによって、態度が180度変わる。

 

…ここで、もしかしてヤンキーとチンパンジーは共通点があるのでは?

と思いついた。

 

 

 チンパンジーは父系的複雄複雌群

 詳しくないのでとりあえず検索してみる。

ヒトの進化の過程をたどると、一番最後に分岐したのがチンパンジー

だいたい500万年前くらいらしい。

遺伝子も98%くらい一致するとかよくニュースで見た。

 

チンパンジーは20~100頭くらいの集団を作る。

オスにはゆるい序列があり連合を作る。またメスより優位になろうともする。

序列の高いオスの方が、より多くメスと交尾できる。

オスは集団にとどまり父系社会を作る。

メスは、成長すると別の群れに移動する。

メスは5~6年に一度出産し、子供と一緒に過ごす。オスは子育てをしない。

別の群れ同志は、非常に仲が悪く殺し合いになることもある。

 

…なんだかヤンキーとかなり似てる気がするんだけど、どうだろう。

 

  

なんちゃって一夫多妻制

驚いたんだが、霊長類で一夫一婦制はテナガザルしかいないらしい。

まして「添い遂げる」という条件まで付けると、動物全体でもかなり少ない。

 

考えてみれば日本の一夫一婦制も

実際は不倫や、ヤンキーにありがちな「子供が生まれるたびに父親が違う」

という状況によって崩壊ぎみの家が結構あるのでは。

 

つまり序列が高いオスほど多くのメスと交尾し、多くの子供を残せる。

一方でメスはオスの勢力図を見ながら複数のオスと交尾する。

これはチンパンジーとよく似ている。

 

人間社会でも、男の方が格差が大きい。

2019年に出た日本の生涯未婚率を見てみると、男性が23.4%、女性が14.1%。

これ見ただけでも確信するんだけど、未婚シングルマザーの存在や

男性の未婚率が急増し続けていることを考えると、実際の格差はさらに

大きい予感がする。

 

これは一夫多妻ともちょっと違っていて、女の側も相手を一人に絞る必要がない

ただ、全体の傾向として「あぶれるのは序列の低い男」という事になる。

 

 

ヤンキーとネット社会

ところで、ヤンキーはネットにあまり適応できてないように見える。

ヤンキーがバカッター騒動を起こしやすかったのは、情弱というだけでなく

ネット社会がヤンキーにとってあまりに大きいせいではないかと思う。

 

分かりにくいので、もうちょっと説明してみる。

ヤンキーは地元にこだわる。そして仲間がいる。

”仲間”は場合によっては親戚や家族であったり、走り屋や飲み友達、同窓生、

職場の上司部下など、顔が見える範囲に限られる。

それ以外の人間はヤンキーにとっては基本的に敵かザコであって

配慮する必要のない存在だ。

 

それに対してネットは匿名が基本であり、顔も素性も分からない。

一見赤の他人がバラバラに行動しているように見えるが、

タレントや政治家がちょっと失言すれば、怒ったネット民は

どんどん拡散し繋がりあい、たちまち巨大な勢力となって炎上させる。

ネットでは利害の一致によって人はのらりくらりと立場を変えるから

顔見知りの「義理」が通用しない。

 

オタクはネットとの相性が非常にいい。

それは単にデジタルに強いというだけでなく、

社会でのヒエラルキーが低いため利他的に生きるしかなかったからだ。

アリで言えば働きアリ。道は譲るし教室ではおとなしい。

でもネットなら世間や常識の皮をかぶり数の暴力をふるうことで

日頃の鬱憤を晴らせるのだ。

 

 

自己家畜化と社会のマクロ化

 ここで自己家畜化について考える必要が出てくる。

 

ヒトがここまで進化した背景には自己家畜化があるんじゃないかと言われる。

つまり牛や馬、犬や猫にしてきたのと同じように

ヒトはヒトを飼いならし品種改良してきたのではないか?という説だ。

  

人間はどうやって自分を品種改良したのか?

和牛なら、よりおいしい牛を人間が選んで繁殖させるのを繰り返すわけだけど、

人間が人間にそんなことをしたら優生思想じゃないのか?

・・・と思ってしまうところだが、恐らく張本人は「社会」だ。

人間が社会を作り上げ、その社会が人間を飼いならし品種改良していく。

つまり、社会に貢献し認められた人間が選択され、適応できなかったら脱落する。

 

そう考えると、ヤンキーが想定する「社会」ってのはチンパンジー社会と

さほど変わらないローカルな集団だと言える。

それに対してオタクが身を寄せるネット社会ってのは、グローバル化

「個人」が消えかかったバーチャルで巨大な集団だ。

  

 

ヤンキーの動物的本能

ヤンキーの群れ意識、別の群れとの抗争はもう野性の本能ってことで

いいんじゃないか?と思う。そういう事にしておく。

 

また車の爆音やきつい香水についても、マーキングや威嚇ということにしよう。

道を譲らないのも、威嚇にちがいない。

  

生き急ぐ習性については、多分、石器時代くらいの大昔は

みんなヤンキー並みに出産が早かったんじゃなかろうか。

むしろ今が晩婚化しすぎている。初産が平均で30歳超えってかなりやばい。

 

生き物として考えればヤンキーが正しいのだ。

ヤンキー車はどうなんだ?とも思うが、そもそもあんな鉄の塊に乗って

馬みたいな速さで移動する時点で不自然なのであって…

 

ヤンキーの習性についてこうやって考えてみると、

実感できない社会には飼いならされないという強い意志のようなものを感じる。

自分がそこに帰属する意味があると思える集団にだけ義理を果たす、

それがヤンキーなんだろう。多分。