「解釈違い」がオタク全般用語になってしまった

今年に入ってから

私の嫌いな「解釈違い」という言葉をあちこちで見かけるようになってきた。

 

この理由は明らかで、去年ヒプマイのコミカライズが炎上し

「解釈違い」がtwitterのトレンド入りしたのだった。

 そして、恐らく初めて「解釈違い」なる言葉を知った様々なオタクが

自分の知っている「解釈違い」を嬉々として披露し合っていた。

それが2018年の暮れだ。

 

こないだ、ネットで仮面ライダージオウのキバ編の感想見てたら

案の定「まさに公式と解釈違いだわ」とか言ってる特オタがちらほらいて

腐女子かよ!と内心引いたのだった。

 

「解釈違い」は元は腐女子用語

オタク用語としての「解釈違い」は、元々は腐女子用語、かつ同人用語だ。

キャラ設定やストーリーの解釈が人によって違う。その結果、他人の二次創作に

出てくる推しキャラが別人のようになる。それが受け入れられない。

そんな時に腐女子は「解釈違い」という言葉を使う。

 

ネット上でなるべく古い「解釈違い」の話題を探してみたけど

一般的な「解釈違い」(例えば「適当に買ってきて」が本当にテキトーでいいのか

適切なものを買ってこいという高度な要求なのか、みたいな)と混在してるので

なかなか探すのが難しい。

 

 twitterで「公式と解釈違い」で探すと、残ってるのは一番古くて2012年。

2013年くらいまでは非常に少なく、ほぼ腐女子がつぶやいている。

それが2014~15年から一気に増えている。

と同時に「初めて聞いた」「何それ」「最近流行りの」

と言ってる人が多いので、多分2015年頃から普及したんだろう。

 

2chではもっと前から見かけたような気もする。

 

同人板などで「解釈違い」と使われる時はたいがいこんな状況だった。

自カプ(腐女子が言う、腐活動の拠点にしているカップリングのこと)の

二次創作が 好みじゃない。自分が思うABはそんなじゃない。

自分の二次創作がなんだか浮いている。交流しても趣味が合わず、

キャラについて語り合っても脳内設定が違いすぎてイライラする。

見てるとそんな感じだ。

 

つまり「せっかく同カプ者なのに趣味が合わない」って状況だ。

 

「公式と解釈違い」となるともう公式への恨みつらみでしかなく、

「同人(≒私)の方がむしろ深い解釈してる」という公式批判もうっすら感じる。

 

 

業の深さ

解釈違いについて検索してて出てきたブログ記事に心底共感したので貼る。

hagyou.hateblo.jp

実はこの記事に出てくるYahoo!知恵袋の質問をしたのは私なのだ。

 

当時すでに「解釈違い」という言葉は腐女子周辺にはすっかり定着していたんだが

どうも使い方が図々しくなってきてるというか、ファンの驕りのようなものを

当時感じたのもあって、2017年時点での詳しい意味合いを確認したかったのだ。

 

業の深さ。その通りだと思う。 

最近使われる「解釈違い」

今年に入ってから見かける「解釈違い」「公式と解釈違い」は、ちょっと違う。

ひとことで言うと毒が無いというか、単に「思ってたのと違った」

「私のイメージと違う」という意味で使ってるらしき人が多い。

 

例えば「(キャラ名)描いてみました!解釈違いしてたらすいません!」

「自キャラを描いてみたら解釈違い起こした」

「名探偵ピカチュウの毛並みが微妙に解釈違い」こんな感じだ。

 

もう同人用語であるという認識すら消えかかっている気がする。

 

上に書いたジオウのキバ回に対する「公式と解釈違い」と言ってる特オタも

けしてジオウの二次創作してるわけでも、何らかのカップリングに対する

脳内設定があったわけでも無く、単に「このキャラはこんなこと言わない」という

批判で使ってると思われる。

 

ある意味、原点回帰?

これを見ていて、私は正直なところ「イヤだなー腐女子の悪しき習慣が

オタク全体に広がっていく…」と思っていた。

 

でもよくよく考えてみれば、本来、解釈違いってのは単なる「解釈の違い」であって

それは年末にオタクが嬉々として紹介していたカトリックプロテスタントだとか

ガンプラのディテールの違いで間違ってないのだ。

 

それを勝手に「カップリングの解釈」という意味で使い始めた腐女子

むしろ特殊なのであって。

 

地雷という言葉も同じで、元は兵器だが世間が「踏むと大変なことになるもの」を

地雷と呼ぶようになり、そこから腐女子によって独特の意味で使われるように

なってしまった。

 

「嫌い」と言えない世の中

ただ、一方で腐女子が使ってたような絶妙にネガティブなニュアンスをこめて

「解釈違い」を使い始めたオタクも増えたように見える。

 

私の見た感じ、よく分からんまま無邪気に使ってる層と

無意識なのか知らんがネガティブな意味合いを込めに込めて使いはじめた層、

両方いる気がする。

 

これはオタク活動がSNS中心になってきたせいだと私は思う。

 

SNSでは流行に乗って面白いことを言わなければと思いがちだから、さっそく

「解釈違い」を使ってみた人もたくさんいるだろう。それが無邪気な層。

一方、SNSは批判的なことは言いにくい。叩かれたくない。 

だからネタっぽい言い回しで公式批判する便利な言葉として「公式と解釈違い」を

使うんだろう。これがネガティブな層。

 

腐女子カップリングで横に繋がる習性があるから

かなり昔からSNS社会と同じような息苦しさを抱えて活動してきたはずだ。

嫌いなものは嫌い、目にも入れたくないという繊細さ。

でも嫌いと言っちゃいけない同調圧力

だから、SNSでストレス感じるオタクが腐女子用語を便利に使い始めたとしたら

私は変に納得してしまうのだ。