なぜ腐女子はルール、学級会が多いのか

私が腐女子を見ていて独特だと思うことの1つにこの

「ルールや学級会が多い」がある。 →腐女子に特有なこと

 

腐女子カップリング表記がものすごく細かい。「隠れるべき」という空気も強い。

また今までに見かけた大規模な学級会や炎上が、たいがい腐向けの多いジャンルだ。

ヘタリア刀剣乱舞、ヒプマイ…)

私の偏見かもしれないので、腐女子の娘に一応聞いてみると

「学級会の9割5分は腐女子」と言い切った。ほんとかよ。

 

とりあえず「ルール、学級会は腐界隈にとりわけ多い」という前提で

それがなぜなのかを考えてみた。

 

腐女子は地雷持ちが多い

 少なくともカップリング表記の細かさについては、地雷で説明がつきそうだ。

腐女子にとってABとBAは全く別のカップリング、むしろ地雷ということが多い。

だから左右は絶対に間違えてはいけない。またABAとかA→←Bとかいった

表記を駆使してでもカップリングへの解釈を正しく伝えようとするのは

それが地雷な腐女子がいるからだ。

 

炎上や吊るし上げ、毒マロが多いことも、ある程度は地雷で理解できそうだ。

地雷持ちはよく、タグや注意書きをちゃんとしない奴を「地雷をバラ撒いている」

「アレルゲンを口に突っ込んでくる」と言う。

つまり他人の配慮の足りなさは地雷持ちにとっては攻撃そのものであって、

被害意識からの過剰防衛でマナー厨と化していると推測できる。

「隠れるべき」というルールも同じ理屈で説明できるかもしれない。

 

 …と決めつけて書いてみたけど、ほんとにマナー厨が多いのか気になったので

「地雷 アレルゲン」でtwitter内検索し、配慮を求めてる(あるいは配慮のなさを

嘆いてる)ツイートの主の属性を雑に集計してみた。

f:id:tkrtht:20200716105957j:plain

やっぱり腐女子は地雷マナーの話をめっちゃする。

ところでtwitterでは自称雑食だけどツイート内容は腐一色、という人がやたら多い。

これはどういうことなのか娘に聞いてみると

「多分、腐以外すべて地雷な人にフォローされたくないタイプの腐女子」と。

そんなところにも配慮があるのか…。

 

あと数としては「配慮求め過ぎるのもどうなの?」と言ってる腐女子の方が多い。

 

あと完全に話がそれるけど、食物アレルギーの人たちは「アレルゲンがひっそり

混ざってる食品」をアレルゲン地雷と呼ぶらしい。

 

腐女子と夢女子では「場」の捉え方が違う

twitter見てて思ったのは、地雷なりアレルゲンって言葉を好むのが腐女子なだけで、

夢女子は同担拒否、リアコ、ガチ勢とかいった言葉をよく使う。

だから腐女子がとりわけ心が狭いとかいうことではない。

  

ただこのワードセンスの差は「場」の認識の差がにじみ出てると思っていて、

夢女子は自分のスタンスをわりとストレートに強めのことばで言い切るのに対して

(まあジャニオタ用語を借用してるわけだけど…)

腐女子は地雷とかアレルゲンといった比喩で遠回しに表明する。

さらに段差、タンスの角などまだ別の婉曲表現を生み出そうとしている。

 

ここから見える夢女子の交流域はあくまで「気の合う人」であって

夢とかジャンルとかいった不特定多数の集団を想定してないような気がする。

それに対して腐女子が想定してるのは明らかにFF外を含めた自ジャンル、自CP全員

であって、その「場」に向かって発言してるわけだ。だからカドが立たないように

「拒否」ではなく地雷という言い方が広まった。

 

このへんの認識は腐女子特有だと私は思っている。→腐女子と「ジャンル」

  

腐女子帰属意識の高さ

そういえば、Yahoo!知恵袋を見てると小中学生がよく

「最近腐女子になりました!腐女子のマナーを教えてください!」と聞いている。

すげえ質問だなと思う。  

どっかに腐女子の協会があるわけでもないだろうに・・・

 

いや、あるのかもしれない。腐女子の心の中には協会が。

例えばタレントがテレビで腐趣味について語ると炎上したり

かつての提言問題とかヘタリアのAPHマナーのように、学級会の末に

かなりでかいルールが敷かれることもある。

これはもう協会レベルでは。

もちろん腐女子全員がそうだってわけじゃない。うちの娘も協会員ではなさそう。

ただ、協会員じゃないうちの娘ですら腐趣味を語るタレントを見ると

「耐えられない」と言うので、何かしら感じるものはあるっぽい。(共感性羞恥?)

 

社会的アイデンティティ理論というのがある。

この理論でいくと、腐女子は「腐女子」とか「自ジャンル」「自CP」という集団に

自己を同一化することで、ジャンル者、CP者として行動するようになる。

この「私は腐女子である」「AB者である」という自己カテゴリー化があまり強固に

なると、ネットの匿名性も後押しして脱個人化が促進されてしまう。

脱個人化ってのは私が「私」じゃなく「集団の一員」になってしまうことで、

所属集団(腐女子で言えばジャンルやCP)に盲目的に追随して衝動的、攻撃的な行動を

とったり、仲間が自分と同じように考えてると思い込みやすくなる。

これ、学級会で荒れてる腐女子に当てはまる気がするんだよなー。

 

「隠れるべき」という同調圧力

ちょうどこないだ、まさにという増田を見た。

anond.hatelabo.jp

  

個人的に隠れる、隠れた方がいいよね、というだけなら理解できるけど

同ジャンルの赤の他人にまで「隠れるべき」というマナーを強いる。

しかもその隠れ方が独特で、作品タグ・キャラタグを付けないだけ。

この独自の”マナー”が絶対に正しいという自信はどこから来るんだろう。

 

隠れる方法なら、鍵垢にする、別のサイトを利用する、そもそも投稿しない、

公式に見られてもいいものだけ投稿する、とかいった選択肢もある。  

いや、別に二次創作をSNSに流すな、とか言うつもりは無いんだけど

自分のマナーに自信がありすぎることにちょっとヤバさを感じる。

とはいえマナー厨ってだいたいそうだよね。

 

このへんに脱個人化が起きていて、つまり私が信じるマナーをジャンル全体が

守ってないとおかしい、従わない奴は「ジャンルを汚しているから」矯正する、

って発想になるわけだ。

ただ、この増田はある程度客観視していると思う。

 

 敵対勢力によって帰属意識が強くなる 

ところで、なんで腐女子がとりわけ帰属意識が高い(ように見える)んだろう。

 

ひとつ思いつくのは、腐女子は敵対勢力が多いってことだ。

 

 

小学生の頃にこういう経験のある人も多いと思う。1学年に2クラスあって

自分が1組になると、2組がだんだん憎らしく思えてくる。絶対に負けたくない、

1組の方がいいクラスだ、2組はイヤな奴が多い…とか思い始めたりする。

 

自己カテゴリー化は外集団(他ジャンル、他CP)との差異が大きいほど強化される。

腐女子にとって隣のカップリングは往々にして地雷や解釈違いだから差異が大きい。

また「自己投影してない」という信念のせいで夢や男女CPへの抵抗感も大きい。

これが腐女子帰属意識が高まってしまう最大の理由じゃないかと私は思う。

共通の敵がいる方が結束が強まるわけだ。

 

他にも色々な理由があると思う。

例えばオタクには「オタク」という自己カテゴリー化が強い人がいると思ってて、

それは多分、言い方悪いけど被差別者として「オタク」というコミュニティに

しがみついてる人なんだと思う。だからそういう人はオタク批判や偏見を許さないし

殺人犯がオタクだったなんて報道があるとマスコミ叩きで暴徒化する。

 

アイデンティティとしての腐

もうひとつ、これはなんとなくそう思うってレベルの話だけど、

腐女子にとっての腐趣味って、たんなるオタク趣味とか嗜好のレベルを超えた

思想というか生き様というか、あるいは烙印ともいえるような何かなんじゃないか、

と思うことがある。

 

なんでそう思うかってのは、ほんとに漠然とした話でしかないんだけど

noteや増田やブログに投稿される腐女子のエッセイなりお気持ち表明を見てると

やたら仰々しかったり、物心ついてからの自己遍歴を振り返っていたり

腐女子としての苦しみやプライドを滲ませてたりする・・・

ことが多いような気がする・・・ってだけなんだけど。

これ系の自分語り、セクシャリティの掘り下げ具合が腐女子特有だなと思う。

そしてそれを考察したがってる時点で、私も何かあるのかもしれない。

 

前に腐女子と「女病」って記事を書いたんだけど、このへんの微妙な何かが

どうも言葉にできない。女病って言い方はやっぱりしっくりこない。

ただあれから考えてみてやっぱりアニムスが一番近そうだな、と思う。

アニムスについてもう少し考えがまとまったらそれも書きたい。